【わくわ~く開催レポート①】移住者が選んだ別府の魅力

2025年1月15日(水)「べっぷわくわ~くWorkationウィークイベント」の中で、BEPPU FAN TOWN交流会を開催。別府に移住し活躍しているゲストを迎え「移住者が選んだ別府の魅力 」をテーマに別府を選んだ理由や、どんなチャレンジをしているのかなどをお話いただきました。会場は「Bepper’s Tavern ベッパーズタバーン」、主催は一般社団法人別府市産業連携・協働プラットフォームB-biz LINK(以下、B-biz LINK)です。

登壇者

●堀切 春水
福岡で生まれ、幼少期は京都、仙台、金沢、京都、大洲、中学高校は大分、大学は札幌、大学院は東京で過ごす。
愛知県で国際芸術祭の事務局、東京・千葉・山梨でフリーランスとしてアーティストマネジメントやアートプロジェクトの企画運営を経て、2020年、別府市に移住。
別府市を活動拠点とするアートNPOの一員としてアートを活用した魅力ある地域づくりに取り組み、展覧会、芸術祭、ハード・ソフト整備、コーディネート業、作品設置の管理進行など多岐にわたる業務に携わる。

●深川 謙蔵
立命館アジア太平洋大学卒。新卒で都内のデジタルマーケティング企業に人事として勤務。
2019 年3 月から別府に移住し、DJバー「the HELL」と、リスニングバー「TANNEL」を開業。おんせん都市型音楽祭「いい湯だな!」主宰。

●沈 彦希
1990 年生まれ、早稲田大学商学部卒業。
新卒から10 年勤めたAppleを退社後、自分らしさと健康を届けることをミッションに大分県別府へ移住し、株式会社YOGIRLSを設立。
17歳でヨガに出会ってからヨガはライフスタイルの一部、生き方のヨガを実践しながら「ヨガールズ」でシェアしている。全米ヨガアライアンスTT200,TT300取得。日本瞑想協会言忍定講師。

別府への移住ストーリー

第一部では、他県から別府へ移住することについて詳しくお聞きしました。移住する前のお話や別府を選んだ理由など、意外な過去や、別府市民も気づいていない新たな魅力が語られました。

別府へ来る前は何をされていましたか?

堀切さん:別府に来る前は山梨県の甲府に住んでいました。結婚して子どもが生まれ、とにかく子育てが楽しくて。こどもと一緒に歩いていると空き家がたくさんあり、時が止まっているようなところも多く、県庁所在地なのにドーナツ化現象が起こっていました。そんな状況を目の当たりにして、自分の子どもが10年後、ここで楽しく暮らせるのか?という疑問が湧いたんです。

そこで、アートプロジェクトを立ち上げました。空き家や使われなくなった銭湯、空き店舗などを活用し「自分の仕事と子どもの遊び場を作る」このふたつが同時にできることをスタートしたんです。子どもが大きくなったときにいられる場を作りたくて。そしてアートの仕事って地方では限られているので、自分で作り出すしかないなと。

深川さん:僕は2015〜2019年3月まで東京にいました。新卒で広告会社の人事に配属されて、社会人1年めなのに「会社は楽しいよ」って、学生たちに説明する仕事で。大変でした。もともと独立したいという思いはあって、九州に帰るだろうなという感じは持っていたんです。

APU(立命館アジア太平洋大学)在学中に、バーを任せてもらえる機会があって、そのノウハウがあったからというのも大きいです。別府に来てからは、レコードを聴きながら飲める「the HELL」、リスニングバー「TANNEL」の運営と、音楽イベントの企画運営をしています。「音楽系や店をする人」というキャラが定着しましたね。もう1軒、次はライブができる店を計画中です。

別府は旅人がたくさん来るまちなので、ウェットすぎず、ドライすぎず、距離感がちょうどいいと思います。基本ひとりでやるけど、ときに助けてもらう感じですね。

沈さん:私は中国出身、早稲田大学卒業後に東京でAppleに入社しました。当時は化粧をしてヒールを履いているような人間だったんです。今ではすっぴん、真逆みたいな感じですね。いい大学、いい会社で、企画書を考えるような「脳を使う仕事」が得意でした。

会社を辞めた時、日本一周をしたんです。そのとき別府に1週間滞在したのが心地良くて、老後に住みたいな〜と思いました。ところが関東に戻り「なんで老後?」と思い直したんですよね。脳では「別府に行っても仕事が少ない」などがありましたが、心はもう1回行きたいという思いが強くて。その年末に再び別府に行って、次の日には家を契約していました。

移住する際に大切にしたポイントは?

堀切さん:私は東京にも地方にも住んだ経験がありますが、コンパクトシティに住みたいという思いが一番にありました。子どもが2人いるのですが、保育園の送り迎えに片道数十分とか絶対に嫌だなと思って。家から歩ける範囲に子どもの学校、職場があるのが絶対条件でした。飲んでもすぐに帰れますしね。

大学生の頃に「BEPPU PROJECT」が立ち上がり、その活動の影響で、来るたびにまちが変わっていくことが衝撃だったんですよ。今まで見たことがなかったから「まちって変わるんだ!」と。そういうことを地方でアートを手法にしてやってるのが別府。だから、移住するなら別府か、あるいは海外かという感じでした。

深川さん:移住するときに譲れない条件などは、とくにないですね。別府か、実家の佐賀に帰るか、福岡のスタートアップにでも入るか?という感じですが、たぶん自分の中では別府に決まってたと思います。

意外と石橋を叩いて渡るタイプなので、移住の2年くらい前からちょくちょく別府に通い、顔を出し、つながりも作っていて。それをキープして移住、出店という流れで、すんなり溶け込めたと思います。別府は人口が10〜11万人の都市で、ちょうどいい数なんですよ。困ったとき、いろんなジャンルのスペシャリストや関係者の方と、すぐに繋がれるので。企業や店など、どんな業界でも顔が見える関係性になれます。

沈さん:温泉って人のためには入らないですよね?自分のために入るものです。ヨガも人のためにはしない、自分のためにするもの。別府は、直感的に自分がよい状態になれると思いました。自分が良い状態だと、人にもよいものをシェアできると感じています。

別府に移住してみて、気持ちが揺らぐことはありますか

深川さん:そんなこと考える暇がなかったですね。APU卒業後、久々に戻って住み始めて「はじめまして」の人と会う機会も多くて。いろんなところに顔を出すなど、関係を作るのに時間をかけました。 

堀切さん:他に行きたいと揺らいだことはないですね。別府は旅人が多くて、地方なのに、中央にいる人や県外の人にも会える機会が多い。外国人も含め。だから住んでいて飽きないし、住んでるのに旅してるような感覚があります。

深川さん:僕は、東京からめっちゃ人が訪ねてくるんですよ。それこそ東京で生活していたら会えないような人も多くて。観光地に住むっていいなと感じますね。売り上げ的にも!

移住先に別府を選んだ大きな理由とは?

沈さん:直感ですね。どうしたいかを心で決めたらこうなりました。幸せや健康って、自分がそうだからシェアできるものだと思っています。

別府のなかでも鉄輪に決めたのは、最初に泊まったのが鉄輪だったことが大きいですね。でも、もし他のエリアに泊まっていたとしても、結局鉄輪にたどり着いたと思います。鉄輪はゆけむりがあちこちにたちのぼって、ゆっくりしていて。お年寄りが多くて、歩いているとばぁちゃんと猫ちゃんに遭遇します。それが、自分とじっくり向き合える時間になっていますね。ヨガと温泉、直感を信じてよかったです。

深川さん:商売の観点から言って、人口が11万人いる時点で地元より多く、大学生も1万人ほどいる、加えて観光客が500〜600万人来るのが別府。数百万人をターゲットに商売できて、山・海・温泉と自然があって不自由がありません。そして家賃が安い!旅人を満足させるコンテンツが揃ってるんです。

地方の飲食店だと、普通は地元の人のためにって考えて経営します。でも別府では、県外や海外からの人に向けて、いろいろなことができますね。

堀切さん:子育て目線でいうと、別府の中心街は平地で、歩いてどこへでも行けるのがいいですね。それから、子どもと走っていたら「走れ、ぼうず!」っておじちゃんが声をかける、みたいな昭和感があるのも好きです。太陽の家など福祉施設もあるし、APUもあって多国籍。清島アパートをはじめアーティストもたくさんいます。自然に「いろんな人がいる」っていうことを知れますね。

プレーヤーが多く、得意なことで生きてる人が多いのも特徴です。歩くだけでおもしろい ロールプレイングゲームみたいな楽しみもありますね。「これがしたい!」って希望があると、協力者がどんどんでてきてつながって、ぽんぽん進みます。いろんなジャンルが混じっていておもしろいです。

別府での活動とこれからの可能性

第二部では、大活躍されている3名に、別府での活動や、今後の別府、自身の活動などについてお話しいただきました。それぞれの取り組みや今後の展望など、ワクワクする話がたくさん飛び出します。

別府での活動を教えてください

堀切さん:現在の勤務先はBEPPU PROJECTというアートNPOです。年間、何十ものイベントを開催しており、教育、食、まちぐるみのイベントなど幅広いアート活動を行っています。アーティストやクリエイターの移住促進やマッチング、コーディネートも行い、地域の活性化につなげる取り組みも積極的に行っています。アーティストの仕事の相談や空き家リサーチまで。街自体がクリエイティブになるように活動しています。

深川さん:音楽に関することをしています。日常的に音楽を楽しむ場所として、店を運営し、非日常で音楽を楽しむためのイベントやライブの企画など。別府に来て自分の役割が明確化し、軸が決まりました。東京にいると、現在地がぼやけるんですが……別府では自分の特性を活かせるし、それで喜ぶ人の顔が見えるのがいいですね。

沈さん:私は「YOGIRLS」という、生活の中にヨガを取り入れる場所、生き方のヨガを実践する場所を運営しています。テーマは「キャリア✕ウェルネス」。別府にきて半年で立ち上げました。ドロップイン、リトリート、養成講座などのコンテンツを用意しています。

人間って、脳で考えるとリスクから考えてしまうんです。でも心に従うと、健康と幸せをシェアできるんですよ。温泉は体がきれいになります。ヨガ・瞑想は、恐れや不安をキレイにしてくれますね。日本だけでなく、フランスやアメリカなどからも訪ねてきてくれます。いろいろあるなかで、おすすめは3日間のプログラム。ヨガはもちろん、適切な食事やゆったりした時間、自然のリズムを取り入れる生活を実践します。

今、受け入れてくれる人がいるからシェアできると感じています。先日は中国に発信し、100人以上の申込みがあって、オンラインで講座することになりました。別府らしいウェルネスの循環をシェアしたいですね。ヨガ瞑想は誰のものでもない、いいものをシェアし、自然や地元の食を取り入れることで循環につながると考えています。

堀切さん:私の勤務するNPOで大事にしてるのが「アートを通して別府を見てもらうこと」です。県外からアーティストを招くときには、必ず別府の歴史を伝え、街歩きするといったことを大事にしています。ここでしか見られないものや光景を体感してもらっているんです。

また、私の勤務するNPOはアート業界では知られた存在だと思うのですが、別府の中ではまだまだ知られていないことも多くて。そんな状況で、場所をお借りするときなど、一方的にならないように配慮しています。ビジネスライクすぎないように、まちを歩いて顔を出したり、地域の活動に参加したりなど、地域とのつながりを大切に活動していますね。

移住者として感じる今後の別府の可能性は?

深川さん:僕がやりたいのは、1週間や1ヶ月間祭りが続いて、世界中から人が集まって楽しむイベントです。世界中から人が集まって、ただただ楽しいやつ。音楽だけでなくアートや映画などと協力して、まちを遊び倒す。1ヶ所でなく飲食店、温泉、ホテルなどまちぐるみで、遊んで楽しんで、疲れたら宿で休んだり、店で食べたり、温泉にはいったり。全部がぎゅっとしている別府だからこそできると思うんですよ。まち全体を楽しめるようなイベントをやりたいですね。

この話、無理じゃなさそう、実現できそうと感じさせてくれるのが別府。ジャンルが全部そろっていて、顔が見える距離感だから、巻き込めばできそうです。みんなで学んで遊んで、稼ぐっていうような、そういうノリで実現できそうだなと、そういう無限の可能性を感じさせるまちが別府だなと感じています。

沈さん:今って、ごはんが食べられない、仕事がまったくないというのはあまりないと感じます。でも満たされていない、何か探している人が多いです。私は移住して2年ですが、これまで自分を整えたい人にたくさん出会い、自分に戻れるツールを探してる人が多いなと感じました。いろんな人にウェルネスシティとして、提供していきたいです。

堀切さん:別府は、なんとかなるまち。ひとり親で2人の子どもを育てられているのは、別府だからできることかなと思います。まちの誰かが子どもを見てくれてて、なにかあったら教えてくれる安心感があるんです。お風呂も100円や200円で利用できるし、アーティストも暮らせる。別府の自由な暮らしがこの国の指針になればいいな、なんて壮大なことも思います。

体験格差が少ないっていうのも感じます。無料でできることがいっぱいあるし、お金を出しても会えない人に会える機会も多いですよね。別府は有意義な子育てができるまちだと感じています。

飲食店やイベント運営者の目線、ウェルネスの目線、子育て目線。三者三様の移住ストーリーと別府での話、そして今後の可能性について語ってもらいました。ずっと住んでいると気づかない別府の魅力、秘められている大きなポテンシャルを知ることができた1時間。笑い声もたくさん起こる、和やかムードのトークイベントとなりました。

参加者の感想

●東京からの参加
別府について詳しく知ることができました。日本全国のいろんなワーケーションツアーに参加してますが、他は観光名所をバスでめぐる、参加者同士の交流をするなどが多い印象でした。別府は「知ってもらう」の先の「住んでもらう」に焦点を当てている感じで一歩進んでると思います。あと、別府のまちは煙突や側溝からゆけむりがのぼっているし、シンプルに温泉がいいと感じました。

●大分市から参加
最近移住してきて、どんな人がいるのか興味があり参加しました。なかなか移住者同士のつながりがないので、人を知るよい機会になったと思います。

●福岡から参加
若者のキャリア支援を手伝う仕事をしているんですが、今日の話を聞いて、別府ならそういう支援もできそうだなと感じました。私はAPUの卒業生で、年に2、3回は別府でワーケーションしていて、近々移住予定。夜景がキレイな十文字原展望台がお気に入りです。

●別府在住2年目の方
パートナーがAPU卒業生で、別府へ移住しました。知り合いに誘われたら断らない!を有言実行すべく、参加。自分で感じていることとは別の視点で、別府の良さやユニークなところを知れて良かったです。

最後に

トーク終了後は、会場の「Bepper’s Tavern」で交流会。ドリンク片手に大いに盛り上がりました。

多くの移住者が住み活躍するまち、別府。まずはまち全体の雰囲気をあじわうためのワーケーションもおすすめです。興味を持たれた方はぜひ一度、ワーケーションコンシェルジュにご相談ください。

  • URLをコピーしました!
目次