デジタルノマド誘客のモデル実証事業に別府市も連携#1日目

観光庁の「地域におけるデジタルノマドの誘客に向けたモデル実証事業」に採択された福岡市を拠点とし、別府市、長崎市、五島市が連携して広域でのデジタルノマド受入実証事業が実施されました。10月15日から17日の3日間で、福岡に滞在中のデジタルノマドワーカーの方々9名をお迎えして別府ツアーが開催されましたのでその様子をリポートします。

デジタルノマドとは、インターネットやデジタルツールを活用して働きながら、国や地域を転々と遊牧民のように旅しながら暮らすライフスタイルのことで、近年欧米の若者を中心に広がっている働き方です。

今回別府を訪れたのは、ドイツ在住のMerlin(メルリン)さん、イスラエルからEli(エリ)さん、Yarden(ヤーデン)さんとRoza(ローザ)さんカップル、アメリカからEmilia(エミリア)さん、マレーシアからKen(ケン)さん、台湾のSonia(ソニア)さん、ハンガリーのTimea(ティミヤ)さん、ネザーランドのNick(ニック)さん。7か国から10名のノマドワーカーの方々が別府にお越しくださいました。

長い方で1か月間福岡に滞在し、仕事もしながら長崎市や五島市へのショートトリップにも参加されるそうです。別府での2泊3日は次のようなスケジュールを組みました。

宿泊先は北浜にある歴史を感じる美しい日本家屋の「山田別荘」です。

1日目:鉄輪温泉と夜の別府ツアー

別府駅からタクシーで鉄輪(かんなわ)に到着した一行は、「地熱観光ラボ縁間」へ。ここでは鉄輪温泉の高温の蒸気を利用した地獄蒸し料理がいただけます。

今回は各々好きなメニューを選んで食券を購入しました。食券機は日本語表記ですが、メニュー表と共通する番号が振られているので番号から購入可能です。

お店のスタッフさんに地獄蒸しが体験できるようお願いしたので、蒸す準備ができたら声をかけてもらい、釜に食材を投入します。

▲レッツ地獄蒸し!今回はお店のスタッフさんにお願いして体験させていただきました。

釜に自分の食材を入れてふたを閉め、足元のコックを回すとたちまちモクモクと蒸気が…!初めての体験にワクワク!撮影会が始まりました。

あとは蒸し上がるのを待つだけ。ちょうどよい頃合いでスタッフさんが声をかけてくれます。

海鮮盛はヒオウギ貝にサザエ、えび、ブリなどがのっていました。季節によっても内容は変わるそうです。味付けはシンプルに、卓上のポン酢やお塩でいただきます。

▲珍しい蒸しピザ!焼き目がつかないので見慣れない仕上がりですが、とっても楽しそう!

思い思いに食事を召し上がったあとは、鉄輪の街歩きへ。

▲写真左端が花田さん

まちあるきステーションARUCO DE BEPPU」の“別府の一休さん”こと花田さんに、鉄輪の地元の方が暮らしているディープなエリアを案内してもらいました。

鉄輪を地図で見ると、上半分に地獄めぐりなどの観光客が多く訪れるエリア、下半分は今でも地元の方の生活に根差している共同温泉や昔ながらの旅館が集まっているそう。

細く入り組んだ路地を歩いていくと、あちらこちらに共同温泉が。地元の方は組合員制度で月々いくら、という支払方法ですが、観光客の方でも100円を料金箱に入れるだけで利用できる温泉が多くあります。

別府の温泉では、「湯船のふちは頭をのせる場所なので腰かけてはいけないんですよ」「熱いお湯が好きな人もいるので、水を入れたいときは一言声をかけて」など、共同浴場で入浴する際のマナーを教えてもらいました。

別府と言えば…の“温泉ポーズ”もしっかり伝授してもらいました。サービス精神旺盛な花田さん、カメラ写りもばっちりです。

花田さんの後ろに見えているのは、温泉を源泉と湯気に分ける機械です。

ジブリの映画に出てきそうな、パイプがたくさんつながれた見た目は、温泉成分で詰まった配管をあちこち繋ぎ直しながら長年使っているからなのだそう…!何も知らなければ、温泉の湯気が出てるな~、と思うくらいで通り過ぎてしまいそうな光景ですが、皆さんしっかり写真に収めていました。

源泉が100℃もある別府ならではの、加水せずに湯温を40~45℃の適温まで下げる装置「湯雨竹(ゆめたけ)」も見学しました。材料として使われている竹は、4~5年で取り替えるのだそう。

駐車場に寝転がっている猫は人に慣れているようでまったく逃げずにまったりしていました。

花田さんによると、鉄輪エリアはあちらこちらから蒸気が上がっていて暖かいので、猫も多いそうです。

見晴らしのよい高台に上がると、そこここに湯けむりが上がる別府の街並みが一望できます。

雨の日は空気が湿気を含むのでさらにたくさんの湯けむりが見られます。

とある大学教授が街から上がる湯けむりの本数を数えたそうで、408本もしくは、400本を超える数だったとか。すごいですね。

たくさんある温泉の中でも花田さんのイチ押しは「鉄輪むし湯」。温泉の蒸気で蒸された石室内には石菖(せきしょう)という薬草が敷き詰められており、その上に横たわって温泉の蒸気を浴びながら10分ほど入浴するスタイルです。

昔ながらの石菖を使った蒸し湯が体験できるのは、別府でも「鉄輪むし湯」のみ。むし湯の入浴後は温泉に浸かってリラックスできます。鉄輪むし湯前の広場には、無料の足蒸しもあります。

続いて一行はむし湯からほど近い場所にある、温泉山永福寺ヘ。

時宗のお寺なのですが、ここでの目的はなんと…住職の河野憲勝(こうの けんしょう)さんによるソロライブ!

河野さんは音楽も大好きで、ギターや木魚、笛、太鼓を巧みに操りながらテンポよく次から次に自ら演目を発表していきます。

鉄輪PRのために作ったというオリジナルソングや、盆踊りの歌など数曲を披露していただきました。

「太鼓たたいてみたい人はいない?」と河野さんの笛と太鼓のコラボレーションも実現。

さらには、盆踊りの曲で踊りましょう!と巻き込み上手な河野さんにつられ、みんなで輪になって踊りました。実は音楽好きなのはお母様の影響で、住職であったお父様とは全く違うのだそう。

参加者からは、「普段はどんな仕事をしているのか?」という質問もあり、「普段は木魚をたたきながらお経を唱えているんですよ」と実演してくれました。木魚のたたき方もなんだかリズミカルで音楽の続きを聞いているかのよう。意外にも住職と音楽とは通ずるものがあるのか…と参加者の方々も納得顔でした。

普段からツアーに限らず、お参りに来られた方とお話しして、演奏を披露することもあるそう。音楽を聞きに参られる方もいるといいます。

河野さんは「誰でも気軽に入ってきてほしい。時宗では南無阿弥陀仏を唱えれば信仰に関係なく極楽浄土にいけます。ここは極楽浄土と同じ場所なので楽しく過ごして」と話していました。

お土産に、ハトの折り紙をもらいました。定番のツルの折り紙と途中まで折り方は同じなんだそうですが、ハトは尾の部分を引くと羽が上下する仕組みです。

大真面目なのにファンキーで楽しませ上手な河野さんのおかげで、終始笑いの絶えない訪問となりました。

始めと終わりにはきちんとお参りもさせてもらい、最後には河野さんを囲んで集合写真を撮影しました。
この後一行は、先ほどのむし湯に入るチームとカフェで休憩するチームに分かれて自由散策を楽しみました。

つづきはこちら
デジタルノマド誘客のモデル実証事業に別府市も連携 #2日目 – 【公式】別府ワーケーションサイト|BEPPU YUKEMURI WORKATION

執筆者|荒川 晴奈氏
千葉県出身、東京、大阪生活を経て4年前に大分に移住したフリーライター。
大分の温泉・食・人にどっぷりはまりつつ、山々に囲まれた田舎で自身もノマド生活に近いライフスタイルを謳歌中。ややWebデザイナーでもあり、ときどき料理人という微妙なスキルを駆使しながら楽しく暮らしています。

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