オフィスだけでなく自宅でも仕事ができるようになった昨今、仕事と休暇を両立させた“ワーケーション”が注目を集めています。
和歌山県や北海道などが有名ですが、大分県別府市でもワーケーションの受け入れに積極的に取り組んでいます。
今回、同じくワーケーションの取り組みに積極的なビッグローブ株式会社と「福利厚生型ワーケーション」の実証事業が、別府市内3つのエリア(北浜・鉄輪・明礬)で実施されました。実施するにあたり、単にワーケーションを体験するだけでなく、参加者の日々の健康状態を計測し、どのような変化があったのかを可視化した点が大きな特徴です。
古くから温泉郷としてのイメージがある別府ですが、ワーケーションの場としての別府にはどういった魅力があるのでしょうか。
第1弾 ウェルビーイングワーケーション(北浜)
11月8日(月)〜11日(木)の4日間にわたって、ただ別府で仕事をするだけでなく、心・身体・魂を整える新たな旅のカタチとしてワーケーションが行われました。
日々の活動について取り上げる前に、まずはプログラムの概要を紹介します。
3泊4日のプログラム
参加者たちが温泉や食事、ヨガといったアクティビティを通して、新たな気づきを得られるプログラムとなっています。
【1日目】温泉・食事・ハーブテントサウナで内側から健やかに
オリエンテーション
今回のワーケーションは、北浜にあるホテルニューツルタを拠点に実施。
ホテルニューツルタ経営企画室長・鶴田宏和さんの“参加される方たちに気づきを得てもらいたい”という想いから、幅広いコンテンツが用意されていました。
「ハーブテントサウナやヨガ、瞑想など、一見女性向けと思われるようなコンテンツを用意しましたが、これらは男性にも体験してもらいたいプログラムです。男女に関係なく自身に合ったアクティビティを見つけ、心身が快楽を覚える体験を得てもらえればと考えています。」と話す鶴田さん。
「眠」「食」「浴」「体」を切り口に、参加者それぞれがウェルビーイング※を目指せるプログラムを作成しました。
※「ウェルビーイング(well-being)」とは、肉体的・精神的・社会的に幸福で、全てにおいて満たされた状態のこと。
ワーケーションはデスクワークから開始
ワーケーション中の業務は基本的にテレワークとなるため、インターネット環境が充実していることが重要です。
館内はWi-Fi環境が整っているので、参加者それぞれが自室でデスクワークやオンライン会議などを行っていました。
大分県別府市の北浜は、JR「別府駅」を東に進み、別府湾からほど近い場所に広がるエリア。至るところで源泉が湧出しており、町内を少し歩いただけで数多くの温泉施設を目にできます。
もちろんホテルニューツルタの館内にも温泉があるため、デスクワークで疲れた時に温泉で息抜きされる方もいました。
じんわりと温まってゆく入浴・ハーブテントサウナ
入浴とハーブテントサウナの時間になり、参加者は館内にある展望大浴場で身体を温めてから、2階の和室に用意されたハーブテントサウナに向かいます。
ハーブテントサウナは、タイで古くから伝わる伝統療法の一つ。18種類の薬草を温泉に溶かし、テント内で湯を沸かすことによって、薬草の成分が混じった蒸気を体内に取り込んでいきます。
ハーブテントサウナを行った「FLORA HEALING」の岩尾さんによると、「しっかりと呼吸することが大事」とのこと。
実際に体験した人は「一般的なサウナよりも熱くなく、気持ち良い汗をかけました」と話していました。
ジビエ肉が絶品!火鍋にしだで夕食を味わう
1日目の夜は、ホテルから徒歩3分ほどの場所にある「火鍋にしだ」でいただきました。
白身魚を使った魚卵団子や前菜を味わったあと、メインの火鍋が登場します。
シカやイノシシ、アナグマといったジビエ肉が使われた火鍋。
初めてジビエを食べた参加者は「臭みがなくて、めちゃくちゃ美味しかったです!」と、感動していました。
就寝時は最高の睡眠体験を
今回のワーケーションでは、眠りにもフォーカスしています。
「最高の睡眠で、最幸の人生を。」をスローガンに掲げる、株式会社ブレインスリープのマットレスと枕が各部屋に用意されています。
マットレスは自身がリラックスできる姿勢を取りやすく、深部体温をコントロールしてくれるため、快適な睡眠へと誘ってくれます。
【1日目の感想】水上さん
ビッグローブ水上さん:
1日目はハーブテントサウナが特に印象的でした。東京でも銭湯とかサウナに行くことがあるのですが、ここではハーブの香りが心地良かったです。
鼻から吸って口から吐く呼吸方法も教えてもらい、リラックス効果をすごく実感しています。
サウナに入る前後では体の軽さも違うので、夜はすぐに眠れたのも驚きですね。
【2日目】早朝から気持ち良いスタートが切れる
日の出を眺めながら別府湾岸ウォーキング
早朝、ホテルニューツルタから3分ほど歩くと、日の出を眺めながら海沿いのウォーキングが楽しめます。
1日目のプログラムで疲れが取れたのか、参加者たちはスッキリとした顔でウォーキングを満喫しました。
コワーキングスペースでデスクワーク&自由時間
別府のコワーキングスペースLinkへ移動し、ここで仕事や座談会を行います。
施設内には会議用の個室や立ったまま仕事ができるデスクなどがあり、作業スペースとしての設備が充実しています。
県産食材が使われたオーガニックランチ
見た目にも美味しいランチは、地元食材を使った料理をオーダーメイドで提供する「IDÉE食堂」のako naramotoさんが、コワーキングスペースまで持ってきてくださいました。
新米おむすびをはじめ、里芋まんじゅうや蓮根のスパイスきんぴら、おおいた和牛のあぶりなど、見た目だけでなく素材や味わいにもこだわった品々が並びます。
皆さん、一品一品を目と舌で堪能しながら綺麗に完食。丁寧に調理された大分の味覚に舌鼓を打っていました。
ワーケーションや新しい働き方を考える座談会
昼食後は「ワーケーションや新しい働き方を考える座談会」が行われました。
ビッグローブ社員3名をはじめ、別府市旅館ホテル組合連合会、コワーキングスペースLink、別府市産業政策課、B-biz LINKから1名ずつ、そして地元の大学APU(立命館アジア太平洋大学)から2名が参加。
「ワーケーションは“三方よし”の取り組みであること」、「自分たちがどう関わっていくのか」、「学生版のワーケーションもできるのではないか」などの意見が飛び交います。
いかに温泉の魅力を活用して地域産業を盛り上げていくのかは、これからの別府を考えるうえで大切なポイントです。
立場は違えども、それぞれに別府のことを大切に思っていることがわかるひと時でした。
息抜きに温泉へ行く人も!デスクワーク&自由時間
座談会が終わり、再びデスクワークを行う参加者たち。
社員同士のミーティングを行うこともありましたが、互いにリラックスした面持ちで話し合っていました。
健康的な食事で胃も心も満たされる夕食
朝から夜まで活動し、いよいよディナーの時間です。
昼食にオーガニックランチを作ってくださったIDÉE食堂のお店まで移動し、夕食をいただきます。
カラシ菜を使った前菜に始まり、蒸した大分の地鶏や鴨の半熟卵、無農薬小麦から作られたラーメン、デザートの果物・フェイジョアまで、素材の旨みを生かした料理が食卓を彩ります。
ラーメンは、トリの肉団子から染み出た旨みとパクチーの香りが調和し、見事な一品に仕上がっています。
静かなアクティビティ!温浴からの動く瞑想/眠れるヨガ
動く瞑想「眠れるヨガ」の講師を務めるのは、全米ヨガアライアンス協会に認定された「Tomoe」さん。
チベットの法具「シンギングボール」の心地良い音を聴きながら、ゆっくりと身体を動かしてヨガと瞑想を行っていきます。
Tomoeさんによると、参加者のその日の体調に合わせてヨガの順番を組み立てているのだとか。
ヨガをしている途中で眠ってしまう方もいるほど、リラックス効果を感じられる静かなアクティビティです。
【2日目の感想】森山さん
ビッグローブ森山さん:
コワーキングスペースでの仕事や座談会も新鮮で、いつもと違う環境にいることでたくさんの発見がありました。
最後のヨガも、起きているのか眠っているのか不思議な感覚でした。ただ、ヨガのあとに温泉に入ってしまったので、これが逆ならすぐに寝ていたかもしれません(笑)。
【3日目】WorkとVacationのバランスの取り方に変化が
別府湾岸ウォーキングと町内の散策
この日も朝から気持ち良くウォーキング。参加者の中には、ホテルの展望大浴場で日の出を見ながら朝風呂に入ってきた方もいたようです。
また、湾岸ウォークだけでなく町内散策にも向かいます。
昭和レトロな町並みが印象的な竹瓦小路や、竹瓦温泉などを巡りました。
デスクワーク&自由時間
滞在中は業務に支障がない範囲で自由に動き回れるため、市内を散策したり老舗のパン屋さんに寄ったりと、それぞれの過ごし方を満喫していました。
食べ応え十分なヴィーガンランチ
昼食はIDÉE食堂のサンドウィッチとジンジャーパンプキンスープ。
サンドウィッチは、自家製スモークベーコンやオーガニック野菜、などをバゲットで挟んだものと、生アーモンドバターと非加熱はちみつを食パンで挟んだ2種。
また、ジンジャーパンプキンスープも優しい味わいが楽しめます。
参加者たちも本日のランチを見ただけで笑みがこぼれ、談笑しながらランチを楽しみました
デスクワーク・自由時間
昼食後はデスクワーク・自由行動の時間です。
そのまま仕事を再開したり、気持ちを切り替えるためにホテルや近くにある温泉に浸かったりと、各自で気の向くままに行動します。
自分の身体を見つめ直すセルフボディコンディショニング
「studio integrate」へと移動し、セルフボディコンディショニングが行われました。
デスクワークが多い参加者たちは肩こりや腰痛といった悩みを持っており、トレーナーの市原利康さんは、参加者たちが腕を回した時の状態などを見てメニューを組み立てます。
市原さんが言うには、「トレーニングを通じて痛い箇所を探して欲しい」とのこと。
筋膜が癒着している箇所を剥がし、筋膜を緩めていくことを目指していきます。
「これはちょっと痛い」と苦しい表情を浮かべながらも、参加者は肩回しが楽になったことを実感し、自身の身体の状態を見つめ直すきっかけを得たようです。
デスクワーク&自由時間でお土産もゲット
セルフボディコンディショニングで身体の調子を整えたあと、お土産を買いに行く人も。
「毎日が地獄です」とプリントされたTシャツや、かぼすジュースなど、別府らしいお土産を購入。
お土産を買いに来られなかった人の分も購入しており、社員同士の仲の良さが伺えます。
再び体験する入浴・ハーブテントサウナ
1日目に体験したハーブテントサウナを3日目にも行いました。
「FLORA HEALING」の岩尾さんによると、1回目でデトックスのスイッチをONにし、2回目はじっくりと蒸気を取り入れるのだとか。
前回よりも汗をかいており、「呼吸が整った」「会社にも置きたい」といった声がありました。
滋味深い味わいを堪能したオーガニック夕食
別府で過ごす最後の夜。この日もIDÉE食堂で夕食をいただきました。
食前酒として出された自然派の白ワインで気持ち良く酔う参加者一同。
彩り鮮やかな前菜から始まり、メインの日出ポークのスペアリブ、デザートにカキとイチジクのスパイスラムクリームまで、地の食材がふんだんに使われたメニューが並びます。
【3日目の感想】野口さん
ビッグローブ野口さん:
3日目の早朝は、朝日を眺めながら朝風呂に入っていたんですが、すごく気持ち良いですね。
あと、夕方に体験したセルフボディコンディショニングも、多くの気づきがありました。よく登山に行って身体を動かしていますが、筋膜リリースを体験することで、自分の身体の調子を知ることができたのは大きな発見です。
帰ったらヨガマットとローラーを購入します(笑)。
【4日目】ワーケーション最終日も別府を味わう
朝は坐禅で静かに心を落ち着かせる
最終日の朝は坐禅で頭と心を整えました。45分にわたってゆっくりと呼吸し、頭の中を空っぽにしていきます。
坐禅後に行った健康チェックでは、多くの人が良い結果を出していました。
最後のデスクワーク
坐禅後に朝食を取り、それぞれに自室へと戻ります。
昼過ぎには帰路に就くため、部屋で荷物をまとめながらデスクワークを行なっていました。
健康チェック&振り返りアンケート
今回のワーケーションは、ただプログラムをこなしていくだけではなく、ウォーキングやハーブテントサウナといった各プログラムの前後に、ストレス状態を測っていました。
滞在中に体験したアクティビティや温泉の影響からか、自律神経活動度などが改善されたようです。
【全体を通しての感想】
今回のワーケーションを通じ、ポジティブな感想が数多くありました。
- 「プログラムと仕事の切り替えが難しいのでは?と思っていましたが、想像以上にスムーズにできました」
- 「在宅ワークになってから人と話す機会が減っていましたが、ワーケーションを機にいろんな方と話したり、関われたりして心理的にも良かったです」
- 「プログラムを通じて、もっと自分の身体を労わろうという気持ちが強くなりました」
普段の生活から離れ、心身と働き方が整うワーケーション
新しい働き方の一つとして注目を集めているワーケーションですが、明確な形は決まっていないのが実情です。
そのため、ビッグローブの方々が体験したことが、今後のワーケーションの解像度を高め、企業・従業員・地域の三方よしの取り組みへと繋がっていきます。
福利厚生型ワーケーションの第1弾として実施された「ウェルビーイングワーケーション」のプログラム。別府は温泉以外の魅力も多く、ハーブテントサウナや飲食店のこだわりの料理、ヨガやボディコンディショニングなどの心身に影響を与える特別な体験は、普段の生活から離れ、参加者自身の健康に対する“気づき”に繋がったのではないでしょうか。きっと、東京に戻ってからのライフスタイルに”健やかな変化”をもたらしてくれるでしょう。
ぜひ皆さんもワークとバケーションを両立させた時間を過ごし、自分の心と身体を見つめ直してみませんか?
別府市北浜でのワーケーションに興味をお持ちの方や、ワーケーションを検討している企業様は、こちらへお問い合わせください。
問合せ先 (一社)別府市産業連携・協働プラットフォーム B-biz LINK
TEL:0977-76-5205
Mail:info@b-bizlink.or.jp
HP:https://www.b-bizlink.or.jp/